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令和4年の税制改正により、「相続税と暦年贈与が一つになる」「暦年贈与ができなくなるのでは」という懸念の声が広がっています。相続税の節税対策として有効である暦年贈与がなくなると、相続時に多額の税金を払わなければなりません。相続を控えている人は特に不安を抱えていることでしょう。
今回は相続税と暦年贈与が今後どうなるのか、令和4年税制改正大綱を振り返りながら予想したいと思います。
暦年贈与とは
贈与税とは、個人から財産を貰った場合に生じる税金のことで、贈与する額が多いほど税率も高くなります。しかし、1年間に贈与した額が110万円以下である場合、贈与税は発生しません。この仕組みを利用した贈与の方法が暦年贈与です。
暦年贈与を利用すれば、毎年110万円を非課税で贈与できます。つまり、生前のうちに所有している財産を110万円以下の額で少しづつ贈与すれば、将来的に発生する相続税を減らせることができるというワケです。
▶相続税とは
相続税とは、亡くなった人から受け継いだ財産の総額が、一定の額(基礎控除)を超えた場合に課される税金のこと。課される人は主に、亡くなった人の配偶者や子どもなど、血縁関係にあった人です。
ただし相続税は、財産を受け継いだからといって誰しもが必ず払わなければならない税金ではありません。令和2年の申告状況によると、相続税の課税対象となった件数の割合は全体の約9%ほどにすぎず、残りの約90%の相続には相続税が課せられていません。
税制改正で相続税・贈与税がどう変わる?
2021年12月に発表された「令和4年度税制改正大綱」では、相続税と贈与税の一体化に関する具体的な話はありませんでした。よって、ひとまず2022年は暦年贈与に関する変更は行われないようです。しかし、近い将来一体化に踏み切る姿勢であることは変わらないよう。
相続税と贈与税の一体化とは、相続によって財産を受け継いでも、贈与によって財産を受け継いでも、課せられる税金の額を同じにするということです。現行の暦年贈与がなくなってしまうので、冒頭で述べたように、これから相続を控えている人の資産形成・資産運用において死活問題となるのです。
いつから暦年贈与が廃止される?
令和4年度税制改正大綱の中でも「相続税・贈与税のあり方」部分で語られている内容は以下のとおり。
「高齢化等に伴い、高齢世代に資産が偏在するとともに、相続による資産の世代間移転の時期がより高齢期にシフトしており、結果として若年世代への資産移転が進みにくい状況にある。高齢世代が保有する資産がより早いタイミングで若年世代に移転することになれば、その有効活用を通じた経済の活性化が期待される。(引用:令和4年度税制改正大綱)」
つまり、現在の日本は高齢者がたくさんのお金を持っているけれども、貯蓄などをしているために、お金が若い世代に流れていかない。だからもっと資金移動を加速させて、経済を活性化させようという大義名分を掲げているんですね。
そのために、相続でも贈与でも、最終的に負担する税額を同じにするというワケです。
暦年贈与の廃止については明示されていませんが、2024年1月以降ではないかと予想されています。
2022年、2023年まで暦年贈与は適用される可能性が高いので、なるべくこの期間中に贈与した方が賢明でしょう。
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